答えを出さない「対話」の贅沢
「結局、どうすればいいの?」 「白黒はっきりさせてよ」
私たちはつい、対話の中に「正解」や「結末」を求めてしまいます。でも、精神医療の現場から生まれた**「オープンダイアローグ(開かれた対話)」**という手法が教えてくれるのは、それとは真逆のことです。
それは、「結論を急がず、ただ対話を続けること」。
すぐに解決しようとせず、今の感情や、まとまらない言葉を、ただそのまま、そこに置いておく。「分かり合えない」という状態さえも、否定せずに共有する。
これは、自分自身の心に対しても同じです。「この不安をどうにかしなきゃ」と焦るのをやめて、「ああ、今は不安なんだな」という心の声を、ただ聴き続ける。
答えを出そうと必死になればなるほど、心は「こうあるべき」という硬い影(ニミッタ)に縛られます。
あえて「分からない」という余白の中に留まること。その「不確実さ」への寛容さが、凍りついた心を、ゆっくりと溶かしていくのです。