なぜ、その影は生まれたのか
慈悲の言葉で心が温まり、恐ろしい「ヘビの影(ニミッタ)」が薄らいできたら。次に私たちは、もう一歩静かな場所へと進んでいきます。
それは、湧き上がる思いの「根っこ」をそっと辿ってみる作業です。
私たちはふだん、溢れるような「言葉」の中に生きています。「あの人が悪い」「私はダメだ」「もっとこうしなきゃ」——次から次へと流れてくる言葉の奔流に身を任せていると、心が休まる暇がありません。
『考相経』が教える深い智慧は、「その言葉は、どこからやってきたのか?」と、一歩ずつ原因をさかのぼってみることです。
激しい感情(言葉)の裏には、小さな不安があるかもしれない。その不安の裏には、誰かに認めてほしいという願いがあるかもしれない。
そうやって、言葉の枝葉を一枚ずつ脱がせていくと、最後には、言葉になる前の、静かな「純粋な感覚」だけが残ります。
オープンダイアローグで「何を言うか」よりも「そこに共にいること」を大切にするように。瞑想の中で「何を考えるか」よりも「呼吸そのもの」に立ち返るように。
言葉を多くして自分を説明しようとするのをやめ、ただ、自分の命の根源にある「静けさ」に触れてみる。
そこにはもう、あなたを脅かすヘビの影も、あなたを縛り付ける言葉の檻もありません。ただ、ありのままのあなたが、そこにいるだけなのです。